ホトケドジョウ

 当水族館は、山梨県水産技術センターの一部門です。センターでは有用水生生物(養殖対象魚や遊漁・漁業の対象魚種)に関し、水族館では、非有用水生生物、特に希少種に関し調査研究を行っています。
 ホトケドジョウは、湧水のある環境に生息し、山梨県では水族館のある忍野村周辺にしか生息していません。かつては普通に見られ、地元では通称「オカメ」と呼ばれていましたが、現在ではかなり数が減ってきており、県レッドデータブックにおいても「絶滅危惧2類」に指定されています。
 ホトケドジョウの産卵期が丁度今頃なので、生息数復元にむけて予備調査を行いました。調査を行ったのはこんな場所です。
 こんな場所っていっても、水がないところ・・・?
 いえいえ、こんな感じで湧水がか細い流れを作っています。

 草むらの中でバッタ取りのようですが、

 いましたこれがホトケドジョウです。全長約4cm。昨年生まれの当歳魚です。

 この草むらの水路も貴重な生息地なのですが、この先は側溝に流れ出し、

 さらにその先は暗渠の水路となっており、流下した稚魚は二度と戻ってくることができません。

 昔の土でできた水路の管理はとても大変です。けれどもホトケドジョウにとって、自由に行き来ができたとてもうれしい環境なのです。

 野生生物は、有効親魚数が500個体以下になると遺伝的に良くない変化が生じ、場合によっては絶滅に向かってしまう場合があるとされています。村内生息地の親魚数はこの数を下回っている可能性が高いと考えられます。
 このため、水族館では地域の人々と協力しながら、生息環境復元に向けての調査と活動を今後も引き続き行っていく計画です。
  by 浜