ヨシノボリの顔

水族館では展示魚の説明や試験研究のために魚体の写真撮影を行うことがあります。大きな水槽の中では動きまわってねらった個体の写真がうまくとれないため、撮影は小さな水槽に魚を入れて行うことが多いです。
今日は「ヨシノボリ」の写真を紹介したいと思います。

ヨシノボリはハゼの仲間で、体の模様などから10種類以上のタイプに分類されています。昨年、水族館では山梨県内のヨシノボリ類の分布について調査を行いました。

通常、魚の標本はホルマリンで固定して保存しています。しかし、このヨシノボリは固定してしまうと判別に重要な体の模様がわかりにくくなってしまいます。そこで後で分からなくならないように生きた個体を写真撮影をして判別を行いました。

オオヨシノボリ 胸鰭の黒い斑紋が特徴です。

ルリヨシノボリ 頬にるり色の斑紋があります。

シマヨシノボリ 頬にミミズのような模様があります。


ヨシノボリは斑紋などから分類するのに手間がかかるため、ヨシノボリ類と一つにまとめられて記録されてしまうことも多い魚です。また山梨県では食用にされないのであまり注目されることもありません。
しかし、ヨシノボリの仲間の多くは海と川を行き来して生活します。川がきれいでも河口の汚染や堰堤により遡上ができなくなると生活史の一部が絶たれてしまうため環境の変化の影響を受けやすく、分布状況や生息環境を見守っていく必要があります。

こうしてみるとそれぞれ個性的な顔をしていますよね。(N.K.)